令和6年11月17日(日)に行われました国家資格の貸金業取扱主任者試験を受けてきました。
初めから愚痴っぽくなって恐縮ですが、この試験、各都道府県に受験会場がないので、田舎県に住む私は、新幹線に乗り隣の県まで移動することになりました。受験料より交通費の方が掛かってしまいます。
この貸金業務の試験だけでなく全ての試験は、居住するところでの受験格差を無くすために、全都道府県で開催するか、CBT方式を導入するか、で行って欲しいものですね。
まぁ試験は昼13:00からの開始だったので、時間的には余裕はある試験でした。
私がこの貸金業務取扱主任者試験を受けた動機の一つは、
「Tribute to 萬田銀次郎&灰原達之」です。
昔見た漫画やドラマ、ミナミの帝王、ナニワ金融道の主人公ですね。大人になってから見たのですが、当時の実社会のリアルを知ることが出来た作品です。
これらの金融漫画に出てくる法律や仕組みに興味を持って、士業の試験を受ける人も多いと思います。まぁ萬田銀行はそもそも違法、灰原さんの帝国金融のやり方も現在は違法になってしまうようですけど。
その他の動機は、この資格は一応必置資格でもあります(50人に1人以上)。勤めることは無いと思いますがAIの進化で世の中どうなるかわかりませんから、予備的に持っていてもイイかなと思いました。
あと、キャリアコンサルタントとして、いろんな分野の仕事の内容を知るのは無駄ではないと思ったこと、行政書士として貸金業の設立許認可(規制がきつくてほぼ無いと思いますが)のための基礎知識として、ですかね。
この試験の受験者は今現在、金融ファイナンス業にお勤めの人、銀行や信金・信組にお勤めの人、商業系の学生、転職組の人、でしょうか。
受験会場には、昔ながらの金融屋っぽい人も数名いましたが、ほぼサラリーマン・OLさんの日曜日の恰好の人でした。
改めて考えると、資本主義とお金ってすごいですよね。
他の産業は、実態のある物やサービスの価値を売り買いしますが、金融はお金が商品で金利で増えていくんのですから。
貸金業取扱主任者試験の概要・難易度
貸金業務取扱主任者の試験は、宅建士を受けられた人にはなじみのある出題形式です。
全部で50問、 4肢択一、2時間。(マークシートで4択なら25%の確率で正解、楽勝・楽勝ってわけにはいきませんw)
出題カテゴリーは、大きく分けて4つです。
1、法及び関係法令に関すること
これは、貸金業法がメインで、利息制限法、出資法、それらの合わせ技の問題が出ます。
2、貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること
こちらは、民法がメインですね。とくに債権の分野の出題が多く、次に総則、物件・相続の問題は毎年出ますが問題は少ないです。あと、商法・会社法・手形小切手法・電子記録債権法・民事訴訟法・民事執行法・破産法・犯罪収益移転防止法なんかが、全部じゃなくて数年に一度出される感じですね。
3、資金需要者等の保護に関すること
個人情報法関連で2問、消費者契約法、景品表示法、広告・勧誘に関する規制で、全部で5問出ます。
この分野は、民法と違い、覚えると取れる問題が多いですので、得点源になりやすいです。
4、財務及び会計に関すること
最期のこちらは全部で3問。個人の所得に関すること、企業会計、財務諸表が出ます。
簿記検定を受けたことがある人や、実務で簿記会計をしたことのある人は馴染みのある問題ですね。
こちらも得点しやすいと思います。
1、の分野から27問出ますので、多くの勉強時間はこちらに割くことになるでしょう。
2、の分野からはだいたい15問程度、そのうち民法は12問程度になります。この2が合否を別ける分野になるかもしれません。民法の難易度は条文ベースの問題ですので、行政書士試験のように思考させる問題ではありません。でも、やっぱり難しいですね。
3、の分野で5問。そのうち個人情報法が2問。
4、の分野は3問です。
で肝心の難易度ですが、昔受けた宅地建物取引士より、少し易しいといったところでしょうか。
多くの資格ガイドの下馬評もそんな感じだと思います。
資格試験の5段階でいきますと、超難関・難関・普通、やや易しい・易しい、の真ん中の普通に入るでしょう。
ただ、この宅建よりも少し易しいは、出題範囲が宅建に比べると狭いという意味になると思います。そして、1の分野では個数問題が多く間違いを起こしやすくさせる設計になっています。
それと市販のテキストは過去問の論点の解説になりますが、今まで出てこなかった、もしくは、過去5年以上前に出たのでテキストや過去問題集に載っていない論点が出してきます(他の資格試験でも同じことが言えますけど)。
私自身の感想で言えば、もう数年前に合格した宅建の試験よりも手強い印象でした(宅建が難化する前です)。
当日のこの試験では、見直しする時間が無くなって、焦った試験となりました。
貸金業務取扱主任者の過去の合格率と合格点はこちらになります。
だいたい1万人前後の受験者数で推移していますね。そして合格ラインは30点強くらいでしょうか。
50点満点ですので、約6割以上は必須、欲を言えば7割以上(35点以上)取れば、安心できることになりますね。
で、肝心の私の点数は、TACの解答速報と、「みんなで作る解答速報」が同じ解答になっていて、それによると、34点でした。マークミスがなければたぶん大丈夫だと思われます。
貸金業取扱主任者試験の受験日程
この貸金業務取扱主任者の試験は、年に1回のみです。
貸金業界の元締め団体である貸金業協会に申込みます。
受験申込期間は、7月から9月の頭くらいにかけて募集しており結構長いですね。
受験料は8500円。昨今の受験料高騰傾向の中、適度な受験料でしょうか。
しかし残念ながら、全ての都道府県で開催されません、田舎に住む人は移動に時間とお金が掛かってしまいます。なので遠方の人は、新幹線などの手配も早めにやった方がいいですね。
そして、試験日は11月の第3日曜日となっているようです。
なので、7月ごろに申し込んで、4か月半、8月に申し込んで3カ月半。
なるべく早く申し込んで、勉強時間の段取りを図りつつ、勉強の意欲アップにしたいところですね。
貸金業取扱主任者試験の勉強時間・勉強方法
まず勉強時間ですが、きちんと正確に測った訳ではないのですが、私は150時間くらいだったでしょうか。
朝に1時間、寝る前に1時間くらい。布団に寝っ転がってでも、とにかくテキストに目を通して専門用語に慣れる事から始めました。
一応、30分(厳密に言えば25分と5分の休憩:ポロモード法)で一つのマス目のチェックシートみたいなやつを作りましたが、印を付けなかったことや、25分を越えてそのまま本読みしたりが多々ありましたので、150時間はとてもアバウトな数字です。
8月中旬ごろにテキスト類を買った記憶があります。
私見ですが、宅建士や行政書士、それ以上の法律系資格を勉強した人は、この貸金業務取扱主任者試験は、100~200時間で行けるんではないかと思います。
なぜかというと、それは、民法を一回ガッツリと時間をかけてやられてきたからです。
貸金業取扱主任者の民法は、行政書士試験よりも問題はややこしくなくて、条文の正誤を答える問題なので、考えさせる問題ではないのです。
まぁ、かといって、私は正解出来たわけではないんですけど。
過去に民法を勉強していない人は、さらに100時間くらいプラスされた方が良いかなと思います。
まず、とても平易に書かれた民法の本を通読することをお勧めします。
たとえば(PR)、
マンガのものもありますので、ご自分にあった解説書をアマゾン等でお探しになってくださいね。
さて、戦術として、貸金業法関連27問と、最後の会計3問を全問正解すると6割取れることになって、あと20問は4択だから、あてずっぽうでもイケる!と思われるかもしれませんが、かなりリスキーな戦術だと思います。
確かに、上記の1の分野、3の分野、4の分野は、時間を掛けて覚えてしまえば得点できると思いますので、重点的に覚えてしまう手もありますが、民法を捨てる考えはやめた方が良いかなと思います。
民法の総則と相続は比較的簡単なので、これらを確実にゲットするとずいぶん楽な戦いになると思われます。
貸金業取扱主任者試験のテキスト等
難易度は宅建より少し易しいとしても、それなりに勉強しなければ受かりません。
記憶の作業には、そこそこ時間をかけないと、脳に定着しないですし、宅建より範囲が狭いといっても1~2週間の短期間で覚えられる量でもないです。
やはり、地道に勉強するしかないと思います。
まずは、ザっとでいいのでテキストを読む。初回は眺めるだけでもいいと思います。
そして、過去問を読む。はじめはきっとチンプンカンプンですので「読む」で良いと思います。そのとき解説をじっくり読んで、きっと判らない言葉が出てくるでしょうから、テキストで調べるという作業ですね。
この作業、けっこう時間を喰います。
20~30分なんて直ぐに経ってしまいますが、その作業を繰り返していくと、だんだんとスピードが上がっていきます。最初が一番つらいですがロボットになった気になって淡々とやっていきましょう。
あと、テキストは過去に出たところをまとめているので、どうしてもテキストに載っていないことが本番の試験で出題されたりもします。ただ、そんな難しい問題は、みんなにとっても難しいので取れなくても大丈夫かと思います。
基本問題と言いますか、出題者が正解させたい問題が過去問を繰り返すと、ああこの問題とよく似たやつ、前にもあったなぁ、とわかってきます。それは確実に記憶しておきましょう。
上記にも書きましたが、初めて法律を勉強する人は、やはり300時間くらいみていたほうが無難かもしれません。期間にして4~5か月くらいでしょうか。7月から受験申込できますから、試験日まで4カ月半くらい。一日2時間くらいと土日に少し多めという配分になるでしょうか。
スキマ時間の活用が忙しい人には効率的ですし、記憶の面でも効果的だと思います。
貸金業務取扱主任者用のテキストと問題集(PR)
資格予備校大手のTACからテキストと問題集
解説が詳しくてこのセットを繰り返し回して記憶すれば独学でも合格点に達すると思います
TACの問題集
技術評論社|貸金業務取扱主任者合格教本
重量が軽くて平易なテキストです。わかりやすく解説しているので、過去問の固い文章とのギャップに初めは戸惑うかもしれません。私はこの教本をメインで使いました。
問題集
金融財政事情研究会|貸金主任者試験ポイント50模擬試験付
こちらには2回分の模擬テストが付いていました。模擬テストはたぶんこの本だけだと思います。
私は、この模擬試験が欲しかったので2023年の新古本を買いました。個人的なことですが、この本は文字が小さくて読むのが少々辛いですw
貸金業務取扱主任者のWEB講義(PR)
貸金業務取扱主任者試験の合格のチャンスは年一回です。
朝起きて直ぐか、寝る前、もしくは、お忙しい仕事の合間のスキマ時間に勉強をされることになるとは思いますが、なかなか思うように勉強が進まない人もおられることでしょう。
そんな時は独学に拘らず、資格勉強のプロに任せるのも全然ありだと思います。
それに貸金業務取扱主任者のWEB講座は、比較的値段も低いですね。
①スタディング
詳しい内容はこちらのバナーからどうぞ。
②アガルート
2024年現在では、アガルートの受講料は43,780円~76,780円だそうです。
TACもあるようですが、値段が高めに設定されているようなのでここでは割愛します。
スタディングとアガルートはWEB講座専門の資格学校ですので、従来の資格予備校に比べるとタイパとコスパがいいですね。
細切れで視聴できるように工夫されていますし、なにより黙々とテキストを読むよりか辛くないですし。
確かに市販のテキストだけの独学よりかは、お金が掛かってしまいますが、受かってしまえば、そんなことは気にならなくなるはずです。
貸金業取扱主任者試験のまとめ
過去に貸金業は、過去のサラ金問題、多重債務者問題で、当局からの規制がものすごくキツイものになりました。その結果、街の貸金業者は激減して、大手だった貸金業者は銀行の傘下に入りました。
現在全国には、約1600社の貸金業者が存在するようです。
個人的には、貸金業を頼りにしないと生活や企業活動に支障の出る人たちはまだまだたくさん居られると思います。
勉強していくとわかると思いますが、その規制と暴対法のおかげで貸金業はとてもクリーンな業界になったようです。
宅建の5人に1人に比べて人的な必要性は低いですが、50人に1人という必置資格でもありますので、名称独占資格よりかは需要があると思います。
現在、業界にお勤めに人だけでなく、FPで仕事をしている人や、ビジネスの見識を広げたい人にもお勧めできる資格だと思います。