キャリアコンサルタントの試験を受験された人は実感されておられると思いますが、キャリアコンサルタント試験の筆記試験は、他の国家資格試験と比べても、難しいことはないと思います。
問題自体も素直な問題ですし、やればやるほど得点できる科目が多いので、早めに、覚えておくと点数はどんどん取れます。
問題は、論述と面談の「実技」になってくる人が多いと思われます。
キャリアコンサルタント試験の「実技」は練習あるのみ!の意見もありますが、その練習にも注意点があります。
それは、養成校の生徒さん、同レベルの人だけで、ロールプレイしてもあまりカウンセリングの力が付かない。むしろ、素人同士で評価し合うことが悪影響になることも考えられます(過度に褒め合うとか、意見が対立するとか、ボス的な人物が言い負かす、それに皆が同調する、など)。
それでやる気をなくす人もいます。
そんな風になるのだったら、プロや先駆者の教え、良書を読んで、面談の基本的な考え方や理論を、うっすらでも早めに感じ取っておくことの方がずいぶんマシです。
試験勉強だけの話ではないですが、基本がまだ出来ていない人が、受験に対する不安からなんとなく集まっても、あまり良いことにはならないです。
スポーツでもそうですが、必ずいい指導者を付けなければ、その人の今まで生きてきたやり方のクセから抜けられないのです。
そうなる前に、先駆者の良書に触れて、自分のクセを本によって諭されて感じる方が、実技の力になる気がします。
以下は養成校のテキスト以外に私が購入した本の第2弾になります。
キャリアカウンセリング|宮城まり子|駿河台出版社
ねむの木学園の宮城まり子さんではなく、大学の先生で臨床心理士でいらっしゃる宮城まり子さんです。
キャリアに関する心理学ではとても有名な先生のようですね。
この本の第3章「キャリアカウンセリングの方法」。第4章「キャリアカウンセリングの進め方」、そして「キャリアカウンセリングの効果的な面接方法」は、実技試験に臨む前に、おさえておくべき基本的なことを分かり易く書いておられます。基本的といいましても、やるのは本当に難しいのですけど。まぁ、簡単であると永遠に思えないのが、もしかしたらカウンセリングの正解なのかもしれませんね。
前半には、理論のことも書かれていますので、筆記試験のために、理解を深めておくこともできました。
キャリアの心理学|渡辺美枝子編著|ナカニシヤ出版
多くのキャリアコンサルタント受験対策のサイトやブログでお勧めされている本です。
押さえておきたいメイン理論家の解説書ですね。
スーパー、ホランド、サビカス、ジェラット、クランボルツ、シャイン、ホール、シュロスバーグ、ハンセン
表や図解もあるので、分かり易いですが、キャリアコンサルタントの試験対策としては少し掘り下げすぎな部分もあるので、時間のない人は、どこかで見聞きしたもの以外は、取捨選択されるのもいいと思います。
そして、試験に受かり、実地の前に、じっくり読んだらよいと思います。
それと、将来的に、キャリアコンサルティング技能士2級を受けるつもりの人は、持っておいてもいいかなと思います。
キャリアカウンセリング再考|渡辺美枝子編著|ナカニシヤ出版
こちらの本は、キャリアに関する様々な疑問・質問に答える形式になっています。
全部で50の問いがあって、わかりやすく説明されています。
基礎的なものや、「そもそも論」的なことから、実践において気を付けるべき点などを書いています。
どうしてキャリアコンサルタント試験を受けるのか、どのようなキャリアコンサルタントになりたいのかを、キャリアコンサルタントになる前に、ご自分で、ご自分のキャリアを考えるためにも、とても良い本だと思います。
まとめ|キャリアコンサルタント試験の前に読んだ本
本を読むことと、実技の練習は、一見かけ離れていると思われるかもしれません。
でも、多くの受講者は、実技の練習を「素」の状態でやり過ぎると、お互いがまだ人の話を聴ける状態ではないので、主張の押し付け合いになったりします。
実は、養成校の講義の間でも、それは起こるのです。人間の承認欲求が、過去生きて来た考え方を表出させるのでしょうか。
そうなる前に、さらっとでも、この分野の大家の先生の書かれた本に目を通しておくと、講義の内容が全然違ったものに見えてくると思います。
キャリアカウンセリングは、ただ話を聴いているわけではなく、話を聴きながら、頭の中で、グルグルと思考作業をしているのです。その中には、「思ったことをすぐに言う」という日常の脳みその働きではなく、取捨選択しながら言葉を紡いでいくのだと思います。
因みに、以下の1冊は、少々お高いですが、キャリアコンサルタントの試験を受け、キャリアカウンセリングに携わるのなら、持っておいた方が良い本です。この本から、筆記試験が抜き出されて出題されているというもっぱらの話ですし。