前述しましたように、キャリアコンサルタントの養成校の授業は、キャリアコンサルタント試験向けの対策に特化した時間は、ほぼないです。
なぜなら、受験資格を得るために開催されているものだからです。
さらに、週一回、3カ月の授業。これでプロに仕上げるには、そもそも無理があります。
授業の一環として、筆記も実技も、ちょっとだけ対策風なものがあるにはありますが、試験に準じていない「ミニ」のものだったので、それでは万全とは言い難いのです。
まぁ、筆記試験は、講義に並行して、自分で勉強することができます。
しかし、実技の対策はなかなかできないのです。
その前に、講習を受けている早い段階で、自分の性状を理解してその性状のままだと、キャリアコンサルタントの実技が受からないと気付くことですw
なぜなら、ほとんどの人は、話を聴くよりも話したい訳ですし、できれば自己の主張を理解させたいとなるからです。
年配、とりわけ男性陣がどれだけ自分の説明口調を「お口にチャック」できるかなのですw
私も、常々、説明口調になりますし、それも前置が長いのです。
それが出てしまう自分に気づくことは、早い方がいいのです。
今回は、そういった不安を解消するために、ネットで検索して、自分でできる基礎固めのために購入した本を載せていきたいと思います。
マイクロカウンセリング技法|福原眞知子監修|風間書房
講習の初めの方は、さらっと流しで学科に関することが授業でありますが、それが終わるとロールプレイの講習になってきます。
そのときは、まだよくわからないまま「素」の自分の人が多いのだと思いますが、早めに、どういったものがキャリア面談なのかを知っておくほうが絶対に良いです。
マイクロカウンセリング技法は、アメリカのアイビィ博士が編み出して、日本にはこの本を監修された福原先生が導入されたようです。本家ですね。
養成校のテキストにも、後ろの方にw、このアイビィの「三角形」が載っていると思います。
「かかわり行動」から始まって、「開かれた質問・閉ざされた質問」、「はげまし・言いかえ・要約」、「感情の反映」。ここまでが基本的傾聴の連鎖としています。
キャリアコンサルタントの実技試験は15分です。短時間です。なので、ほぼここまでになると思います。
指示や説明は、試験では出すことがないと考えた方が無難なのかもしれません。(まぁ流れによっては「積極技法」まで行くのかもしれませんが、危険かもしれませんね)
この本は、良い例・悪い例として、DVDが付いてきます。
というか、購入者のほとんどがこのDVD目当てなのだろうと思います。
DVDでは、ちょっと、極端な「悪い例」ですが、なんども見返して、面談時にやってはいけないというのを、目と耳で脳に叩き込むのがよいと思います。
養成校の講習でも、これを先に見るのと見ないのとでは、勉強の質に大きな違いがあるとおもいました。
プロカウンセラーの聞く技術|東山紘久|創元社
この本は、臨床心理士で京都大学の先生が書かれています。
私は、講習の初期にこの本を買いました。私の中の解説者や評論家を抑え込むためですw
「聞き上手」になることがカウンセラーやコンサルタントには必須の要件ですが、「素」のままで「聞き上手」な人は、そんなに多くおられません。
井戸端会議やネット上では、「ちょっと聞いて~」から始まり、個々が言いたいことを言うというのが普通です。
この本はコラム風に構成されていて、
「1.聞き上手は話さない」
「9.他人のことはできない」
「14.教えるより教えてもらう態度で」
「20.評論家にはならない」
「25.説明しない」
「29.聞き出そうとしない」
などなど、普段オジサン・オバサンがやってしまうことを修正するための考え方が書かれています。
キャリアコンサルタントの資格を取っても、これらのことを面談時やってしまうキャリアコンサルタントもたくさんいます。養成校の講師にも、自己主張することが好きな人がいて、閉口しましたw
キャリアコンサルタント養成界隈または教育領域メインの人は、どうも指示的な人が多い印象です。相手が教えを受ける立場だからなんでしょうけど。
話を戻しますと、初期の段階でこの本に出会い、実技の試験の前に再度読んで、自分の起動修正が出来たことは、とても良かったと思います。
キャリアコンサルタントのためのカウンセリング入門|杉原保史|北大路書房
こちらも京都大学の先生が書かれている本になります。
題名が直球ですね!
この本は二部構成になっていまして、「実際編」と「理論編」に分かれています。
「実際編」は、心理カウンセラーとして、著者の体験したエピソードを交えながら平易に書いておられます。ここに書かれたことは、養成校では触れられません。時間が足りないこともありますが、心理学を学んだ人が教えている訳ではないからだと思います。
なので、養成校のロールプレイは、養成校のモノであって、実際のものとは違うという判断をさせてくれる良書です。
これがわかると、講習の中での「モヤモヤ感」もだいぶ解消されます。さらに言えば、キャリアコンサルタントの実技試験も、実際の面談とは違います。評価する人とされる人がいて、試験に合わせた線引きがあるからです。
皆さんがなぜキャリアコンサルタントになりたいのかを再度考えさせてくれる内容になっています。それぞれの立場や思いがあって、この資格を目指されているのだろうと思いますが、資格を取った先のことがわかります。
実技試験を受ける心構えも、先を見据えているのといないのとでは違ってくると思います。
答えはないので、読んでも「う~ん」と唸り「なるほどぉ~」となるのですけど、これが結構重要な時間なのかもしれないなと思います。
後半の「理論編」は、学科試験に直結している内容です。
テキストや問題集は解説しているだけなのですが、それをもう少し踏み込んだところまで書かれていますので、記憶に残りやすいかなと思います。
この「理論編」の初めの章における著者の文を引用しますと、
現在刊行されている多くのキャリアカウンセリングのテキストには、心理カウンセリングの代表的な理論が概説されているものの、その記載は非常に抽象的で大雑把のものが多いように思われる。このような状況では、キャリアカウンセラーの方のカウンセリング能力が上がらないのも無理はありません。
やさしく丁寧に、メインどころの理論家の理論を解説されていますので、きっと将来の力になるような気がします。