ビジネスを始める前に100冊読む⑨

ヘレネーと三冊です その他資格・書評

この「100冊読む」を始めて、「100冊読む」に入れていない本もあります。

番外編にもせずに、ほんとにサァーと読んで放置している本です。

アマゾンでは中身がわからないやつもありますので、仕方がないことかもしれません。

著者の名誉にかかわりますし、のちのトラブルの可能性回避のため筆者や題名は伏せますが、いわゆる新人コンサルタント向けの本です。

要約すると、まずとにかくどんな形でもいいから本を出して名前を出す→出したという事実で箔付けをしてセミナーを開く→セミナーに来た人に積極的に商談をするという内容です。

そして、〇〇千万円プレイヤーになることを強調しています。

何のためにコンサルタントとして世の中に存在しているのかという大目的が感じられないのです。

この感じは、SNSでよくある「精神障害で退職、ブログはじめて1か月で〇〇万円、今では月商〇〇〇万円!」と喧伝してその手法を情報商材として売る手法に似ています。

本を出すことも、お金儲けも否定はしませんが、あまりにも本の内容に、重みといいますか誠実性といいますか、そういうものを感じられなかったのです。

人間の欲望を煽りその心を集めて、本を読んだ人を自分のファンにして、中身のない(失礼)膨らんだ風船になることが指南されていましたので、私には合わない生き方だと思った次第です。

その反対に、以下で紹介する松下電器の松下翁の本の帯には、こう書かれていました。

「戦略・戦術は大事、しかしそれ以上に大切なことがある」と。

世界で一番やさしい会議の教科書|榊巻亮|日経BP

森元首相が「女性が参加する会議は長くなる」と言って、大ブーイングの末、会長を辞任しました。これ、この発言に反対していた人たちの勝利に一見見えるかもしれません。

でも、男女問題もさることながら、会議の在り方も問題の本質の一つです。

男女問わず主催者・参加者が、会議の種類・やり方を学んだことがなく、日本伝統の会議のやり方や、個人の経験で培われたものを展開しますので、どうしても食い違いが生まれてしまいます。

たとえば「話が長くなる」という意見も「自由に発言できない」という意見も出てくるでしょう。

この本は、入社2年目の社員が、会議におけるファシリテーターになって、グダグダな会議を本来の目的に沿って改善していく小説風の内容になっています。ファシリテーターとは促進者という意味ですね。

会議の種類も

報告→情報収集→承認→方針検討→課題解決とあり、順に会議の内容が難しくなっていきます。

報告は、集まらなくても別の伝達方法で代用できます。

みんなの知恵を出し合う方針検討や課題解決は、自由闊達に地位や立場を越えて意見を出し合わなければいい案はでないでしょう。

このあたりがゴチャゴチャになっているから、悲劇的な会議が続き、そして、日本人の労働の多くの時間が会議に費やされてしまうわけです。

主催者も参加者も、この種類の違いを分かって集まっていたのか、私が今まで参加してきた会議では、甚だ懐疑的です←

議題とは違う内容のことを、真っ赤になって延々と話すオジサンもいたし、話の腰を折り井戸端会議化させるオバサンもいました。じつに辟易しましたw

この人たちは、とにかく話したいのです。ですので、会議本来の種類・目的を始めに定めておいて、この会議のゴールを明確に皆さんで共有することが重要です。

そして、この本でハッとさせられたことは、会議に参加するのに不適合な人は初めから呼ばないとしているところですね。

リーダーになる人に知っておいてほしいこと|松下幸之助・松下政経塾編|PHP

松下政経塾の塾生にむけた講話の中で話された「金言集」という位置づけの本になります。

この本を通して、素直な心になることが強調されています。自分に対して、相手に対して、社会に対して、素直な心で見るということです。これは迎合することではありません。むしろその反対の立場に立つこともあるでしょう。

素直な心=オープンマインドで、自他を俯瞰的に見ることは実に大切なことだと感じます。

とくにSNSが発達していますので、俯瞰的に見ることがないと、耳障りのいい情報に流されてしまいますね。

他の話では、人生は予定通りにならないということを書かれています。松下翁でさえ、そう感じられていたのです。

そして、その悩みは、その日その日を充実してすごしていたら何とかなると話されています。

この充実というのは、単なる自己満足ではなくて、深く重く、継続と克己の充実ということが、本を通してわかります。

この「予定通りにはならない」の話は、だいぶ前に読んだ本「仕事は楽しいかね?|デイル・デートン」の中にも同じようなことが書かれていました。コカ・コーラやリーバイスも、継続とひらめきと偶然に生まれたものであって、初めからその商品を作るために活動はしていないということです。

この本は、松下翁の講話ですので、大阪弁で書かれています。

年配のおっちゃん(おじいちゃん)が諭すように話しています。そして書かれたのは40年くらい前のことですので、現代を生きる若い人には合わないと思われるところもあると思います。

しかし、人間として普遍的な人情の大切さや努力・継続の重要性などが感じられるお話です。

松下政経塾は政治家・経営者育成のために作られた私塾です。

松下翁が塾生にたびたび話しているのは、掃除することの意義や、小売店での接客修行のことです。そういった修行は「宝」であるとして、それをやらないことは宝を捨てることになるとされています。

人事担当者、社労士に贈る知っておきたい合同労組・ユニオン対応の基礎と実践|弁護士2名社労士3名労働組合書記長1名の共著|労働新聞社

今、社労士になるための事務指定講習を受けています。

並行して、給与計算2級の勉強もしています。

社労士の実務において、適用、給付の手続き関係、給与計算は、労働者の権利を守ることに繋がる大切な業務の一つであることは間違いないと思います。

しかし、社労士は、使用者と労働者の紛争解決のアドバイスを求められたりもします。

私を含め、ほどんどの社労士の玉子さんたちは、このことの実務を知らないと思います。

社労士の試験勉強では、少しは文字として出てきますが、労基署の業務内容、労働組合の活動内容は、まったく勉強していません。受験後もおそらくほとんどの人は、わからないまま登録するのではないでしょうか。

社労士法1条では、

事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的

業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない

とあります。

社労士を目指した理由は、人それぞれなので、どの内容をメインの業務にされるのかは、その人のバックボーンで変わることだとは思います。

もし、昔勤めていた会社での法令違反で納得のいかないところがあった、苦しい思いをしたという経験がおありで、相談業務も考えているなら、手続き・給与計算に並行して、労基法・労組法→労働基準監督署・労働組合の勉強もしておくのが吉だと思います。

給与計算だけの顧問契約であっても、使用者から労働トラブルによって、労基が来た、労組から団体交渉を求められたと相談されても、何もできない・何も知らないでは、使用者からの信頼は得られないと思います。
もしくは、逆に労働者からの相談に際して、よくわかりませんでは、何のために存在しているのかわからなくなってしまうと思うのです。

この本以外にも、使用者側弁護士社労士、労働者側弁護士社労士、労働組合の中の人が、それぞれの立場で書かれた本はたくさんあります。

いずれの立場にしても、題名はセンセーショナルなのですが、中身は、同じような内容になっています。というかならざるを得ないというか。

それは、憲法27・28条からくる労働者の強力な権利を実行させるという労働基準法、労働組合法を、遵守しなければ、負けるからだと思います。

富士山を山梨側から登るか、静岡側から登るかの違いで、労基法・労組法という頂きを見つめている、そういう状況でしょうか。

世の中には「社長を守る会」も「労働者を守る会」も存在します。賛否はありますが、ここでの言及は控えるとして、使用者側・労働者側が協力して「憲法27・28条を守らせる会」を作ればいいのになと思いました。

この本のいいところと思ったのは、主張が偏らないように、弁護士・社労士・労働組合の三者でかかれているところですね。

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