私は令和元年度に海事代理士試験を受けて、晴れて合格しました。
令和3年度の海事代理士試験を考えている人、受けようと決めた人の参考になればと思います。
あわせて国土交通省の「海事代理士になるには」は必ず熟読してくださいね!
以下の記事は、私が受験したその令和元年度の海事代理士試験の筆記試験についての内容になります。
海事代理士試験筆記試験 1時限目
具体的に、海事代理士筆記試験はどのような感じで行われて、どのような科目がでるのか、私の経験談として解説をしていきたいと思います。
海事代理士筆記試験は、1時限目から4時限目まであります。
そのうち、1時限目9:00~10:30となります。この1時間半で4科目を解きます。
憲法・民法・商法・国土交通省設置法の4つの法律ですね。
一科目当たりの時間は、22~23分あります。
実際は、たくさん時間が余る人が多いと思います。一科目10分もあれば十分なくらいの問題の量ですので、時間を気にすることはないと思いますよ。
で、私もそうであったように、この1時限目が船舶関連にお勤めではない一般の人にとっては、一番とっつきやすい法律群になります。
憲法は、今まで生きてきたら何かしら触れてきた法律ですし、民法も、生きてきたなら何かしら関係してきた法律です。
他の難関資格は別として、この海事代理士筆記試験の憲法は判例を数多く覚える必要はないですし、民法は事例を使って解釈することもほぼでません。
まずは過去問をやって、出ている条文を覚えることからですね。
頑張って、この1時限目で、以後の時限の試験に弾みを付けましょう!
憲法(配点10点)
約103条から成る日本の最高法規ですね。
この法律の対処方法は、過去問を繰り返し解くことと並行して本番で取りこぼししないように、
条文を読み込むことも必要です。
残念ながら、過去記事にあります「海事六法」にはこの憲法の条文は載っていないので、どこかで入手しなければなりません。
おすすめの一つ目は、一般向けの市販の六法です。
一般向けのものは、値段も高くないですし行政書士など他の資格を受けるつもりがあるなら、使うこともあると思いますので、お家に一冊あってもよいと思います。
私は、三省堂の基本六法というのを、海事代理士試験の前年に買っていました。
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それと、憲法対策のための六法、おすすめの二つ目は、行政書士試験で使ったその名も「行政書士試験六法 早稲田経営出版」というのを使っていました。私はこちらがメインですね。
この「行政書士試験六法」は、条文と条文の間に、関連する過去問や判例を乗せているので、インプットしやすいのです。
ちょうど、海事代理士試験の憲法の2.の(イ)の問題は、森林法共有林分割禁止違憲事件のことでして、行政書士試験六法に載っていました。
別に判例集を買わなくても、これがあれば、あらかた基本の判例は載ってあります。
条文を読んで判例も見ることで一石二鳥、ずいぶん重宝しました。
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また、YouTubeでは、憲法を音声の読み上げしている動画も配信されています。字幕付きのもありました。
勉強に疲れたときや時間がない時は、聞き流しでもよいので、こういうアイテムを使って時間の有効活用も、OKだと思います。
本番の憲法の問題は、条文穴埋めの記述が5問、条文理解と判例の〇✕で5問。
その後半5問中、判例の問題は2問です。
判例の問題は、過去問をすべてあたって記憶した後に、それ以外の問題については、行政書士試験の判例集などをさらりと読んでおくことでしょうか。
ですので、さきほどの「行政書士試験六法」が手っ取り早いですね。
まあ、全体240問中の判例問題2問なので、時間対効果で考えるとあまりこだわりすぎるのも、得策ではないかもしれません。
過去問をマストに覚え込んでの、プラスアルファくらいでいいと思います。
ちなみに、私は10点中9問正解でした。
民法(配点10点)
民法は、1044条にもおよぶボリュームのある法律です。
こちらも、とにかく過去問をよくまわしておくことです。
そして、その過去に出された問題の前後を、六法で見ておくことが重要でしょう。
1000条もあるので、読み込むのには時間がかかりすぎます。
ですので、過去問で触れられていないようなところは取捨選択するしかありません。
民法の筆記は、前半5問が条文穴埋めの記述です。
後半5問は、法令の解釈ですが、文章が条文に則しているかどうかの〇✕問題です。
宅建試験や行政書士試験の民法と比べると、論点を覚えて事例問題を解くという「思考」することは、ほぼないので民法が不得意な人でも、高得点が狙えます。
私の対策は、過去問を繰り返しやることと、行政書士試験六法の民法のところを、日にちをわけて、読み込むことでした。
民法も、YouTubeで読み上げ動画がありました。
長いですが、耳学習をされるのも良いかと思います。
ちなみに、私は、本番では10問中8問正解でした。
間違えたところは、2問とも、穴埋め記述の問題で、
「金銭」と書くところを「通貨」、「寄託」と書くところを「寄託契約」と書いていました。
「寄託」なんかは、ほぼ合っているように思えますが、条文穴埋めなので、自分に辛めの、✖をしておきました。
商法(配点10点)
商法は第一編総則 第二編商行為 第三篇海商となっています。
難解な、一編、二編の商法は、海事代理士試験には出ませんので、超ラッキーです!
しかし残念ながら、普通の六法では、私達の受験範囲の第三編海商は省かれています…
ですので、海事六法を使うか、e-Govなどを使って条文をダウンロードしないといけません。
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余談ですが、過去問を見た人はお分かりだと思いますが、私が受ける前の年まで商法はカタカナ条文で出されていました。
120年ぶりになる商法の改正が行われたので、私の受ける年から口語の条文による試験問題になりました。読みやすくなるのは、とてもいいことです。
にしても120年って。
海商編は、684条から850条まで、約160条くらいあります。
ですが、ごっそり削除されている部分も何か所かありますので、実際に目を通すのは100条くらいではないでしょうか。
第五章の海難救助、第六章の共同海損は船独特の商法規ですので、私もそうですが、初めての人にはちょっと難解に思えるかもしれません。
過去問で言葉を覚えて、さらにその言葉の意味を知って理解を深めたいなら私の過去記事をご参考にしてください。私の使った参考書を挙げています。
試験の内容ですが、前半5問は条文の穴埋め記述、後半5問は法令の○×問題です。民法と同じですね。
私は10問中10点でした。「現代海商法 成文堂」を買った甲斐がありました。
新しい第5版が出ているようです!
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国土交通省設置法(配点10点)
海・船舶関係の行政手続きを仕事とする海事代理士として、どこに何を提出するのかという国土交通省の組織を知るための基礎知識に科目となります。
この法律は、私にとっては、過去問をやっているとよく間違う科目でした。
なんせ過去問やっていても、ピンとこないのです。途中から、これは全体像を自分で理解しておく必要を感じました。
この海事代理士試験の1時限
しかし、この国土交通省設置法は、海事代理士として必要なことなのでしょうけど、お役所の部署を記憶する作業ですので、いまいち現実味がないというかなんというか、です。
あと、お役所の部署は、たびたび改編されている模様なのです。
私が中古で買った第3版の「海事代理士合格マニュアル」では、もう無くなった部署も出てきてましたので「海事代理士合格マニュアル」の古いものを購入した人は、注意してくださいね。
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勉強方法としては、何と言っても、先に過去問をある程度こなしてから、ふわっとでもいいので、この出題の概要を掴みましょう。
具体的には、
- 国土交通省の本局に置く課
- 地方運輸局に置く部
- その設置の根拠の法令
- 地方運輸局の管轄範囲・海事事務所
などを覚えていくわけです。
私は、まず、e-govから、設置法施行令、施行規則をダウンロードして、地方の部署がどの上部組織の、どの課に紐づいているか、またはその逆を、探していきました。
重なる部分を消し込んでいって、そして、別の紙に書き出して、
以下は、パソコンでまとめました。
手間のかかる作業です。
こうすることも、法令を覚える修行の一つと思うしかないですね。
実は、この上記の作業では、国土交通省設置法の大問の1.に対応しているだけです。配点4点。
あと大問2.と3.が、あります。
大問の2.は、ある所掌の事務を規定しているのは、法なのか、組織令なのか、組織規則なのかの、判別問題です。配点は3点。
簡単と言えば簡単です。深入りしないで、過去問に該当するところを抜き出すくらいでいいと思います。
大問の3.は、地方運輸局が何県を管轄するか等の問題です。配点3点。
ひっかけ問題を作成しやすいです。
なぜなら、普通の都道府県の地方の区分けと、違っていたりもしますから。
たとえば、
です。
私はこの国土交通省設置法は、10問中9問正解でした。
間違えたのは、「広島県にある海事事務所は2か所である。〇か✖か」でした。
答えは✖。呉と尾道と因島だそうです。
過去問に、この海事事務所の把握の問題があったかどうか、うーん、たぶん、ないです。
この問題は、すでに海に携わっている人には、サービス問題?だったかもしれませんね。
次回は2時限目の法令について、私なりの勉強方法と解説していきたいと思います。