「嫌われる勇気」のP71には「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」としています。
「すべて」であるとは、私にはわかりませんけれども、それを裏付けるかのように、平成30年度の個別労働紛争解決制度では、
民事上の個別労働紛争相談件数
助言・指導の申し出件数
あっせん申請件数
において、
いじめは、子供の世界の話ではなく、大人の世界でも大きな問題となっています。
難しいところは、一般的に、対人関係のプロとしての職場、おそらく仕事に就くまでに、相当な時間をかけて、人間の心理や行動を勉強したはずの業界、たとえば介護業界や教育業界にも、この問題がはびこっているようです。
士業をビジネスにするにあたって、まず自らの対人関係のスキルをあげることはもちろんのこと、それがある程度できるのなら、今度は、法規をうんぬんする前に、クライアントや個人の相談者に軽くアドバイスできるくらいになりたいと思います。
だれも、イライラしたくないし、イライラさせたくないです。さらにすすんで、怒りたくもないし、怒られたくもないですね。
でも、そうなったときに、関係を維持しつつ、和らげる技術を知っておくことは、日本の労働環境にはすごく必要なことだろうと思います。
とはいえ、私などは、初心者の段階ですので、マンガ、図解付きで読みやすいものをチョイスしました。
マンガ・図解とは言え、専門用語もたくさん出てきます。専門用語の言葉自体は忘れても、対人関係についてのスキルの初歩として、さらっと読むのはすごく良いと思います。
ちなみに、今回の三冊は、アマゾンプライムで読みましたので、実物は手元にないです。ご了承ください。
マンガでわかる!対人関係の心理学|ゆうきゆう|西東社
食品会社に勤めるOLが、平社員から主任になり曲者ぞろいの総務課に配属されます。人間関係に苦悩しますが、料理教室で知り合った精神科医の助言を用いて、人間関係を構築・修復していく物語になっています。
小一時間くらいで読めます。
ですが、専門用語もたくさん出てきますし、そのテクニックの使い方も書いておられます。
マンガですので、描写も、とても分かりやすくなっています。
事なかれ主義の部長、怒鳴りつける課長、愚痴がとまらない係長、敵意をあらわして嫌がらせしてくる同期、指示待ちで動かない後輩というラインナップでした。
その都度、精神科医に相談して、解決していくというお話なのですが、基本は、その他人をどうこうするのではなく、まず、自分の考え方や意識を変えていくことから始まるとしています。
まだ、私は実践していないですし、そもそも理論の習得が出来ていないです。著者は、対人関係についての本をたくさん書かれているみたいなので、別のも読んでみようと思います。
まんがで変わる!仕事は楽しいかね?|デイル・デートン原作|藤森ゆゆ缶作画|きこ書房
原作(まだ読んでないのですが)では、大雪で飛行場内に留まる羽目になった中年サラリーマンが主人公になっているのですが、こちらのマンガ本では、コーヒーショップに務める日本の女性が主人公になっています。
悩みが多くなってくると過去の自分の分岐点のチョイスを悔やんでしまうものですが、今、身の回りにあるものに着目すると、新しい別の道が開けてくるというお話になります。
過去を悔やむということ、それは、計画的に生きていこうと過度に意識すると、それが叶わなかった場合、落ち込みが激しくなります。
過度に、計画に邁進するのではなく、気持ちに余裕、つまり計画を変更してもその先がハッピーならそれで良いということが書かれています。
世界的に有名な成功者でも、苦境の中で、針路変更をすることになったけども、結果的には、それが大成功への道だったことが例として載っていました。ノーベル賞の発明なんかも、失敗したことによって、新たな発見につながった例が多いですね。
日本の武道の教えに「守破離」というのがあります。
教えをまず踏襲して語りを作り、それをアレンジして変えていき、新しいものを作り上げていくという考え方です。これによって、発展性をもたらすことになります。
日本の雇用では、ジョブを変えるなく同じジョブを続けることが良しとされてきて、ジョブカードなるものを作らされるわけですが、まあ、ジョブをチェンジしてもいいじゃないと思っておりました。これからの時代は、ジョブチェンジすることが多数派になる可能性がないわけでもないのです。そのときに、深く落ち込んだりしないように、前向きな考え方が広がればいいなと思います。
この本は、そういう能動的に生きることで、生き生きとして過ごす考え方を教えてくれています。
次は、原作の方を読んでみたいと思います。
図解アンガーマネジメント超入門怒りが消えるこころのトレーニング|安藤俊介|ディスカバー21
今度は、相手をどうこう言う前に、自分の感情をコントロールする技術について書かれた本になります。
図解していますので、文字だけのものよりかは、わかりやすく、初心者にはおすすめできます。
人間をしていると、声を荒げて口論になることはどうしてもあります。子供の時代ならいざ知らず、大人になってくると、そのことによって、人間関係が修復不能なところまで行ってしまうこともあります。
怒ること、怒鳴ることが、パワハラとなる可能性も大です。
仕事上において、ガミガミ怒ったことによって、その人のパフォーマンスが向上するならまだしも、大抵は委縮したり、モチベーションが下がって、仕事の生産性が下がりますので、どちらかというと、ガミガミ怒る人その人自体がいない方が、会社にとってはまだマシということになりますね。
難しいのは、ガミガミの程度は、人それぞれでありまして、その感じ方も人それぞれなわけです。
なので、そもそもガミガミしないことが良いわけになってくるのです。
まあ、感情をため込んでも、いつか爆発してしまうかもしれないですし、こちらが精神的に参ってしまうかもしれませんので、じつに難しいですね。
読み進めていくと、怒りそうな自分を俯瞰的に見て、その時の気持ちの持ち方次第で、感情をコントロールできるとしています。
とにかく、わたしができることとしては、
著者は、アンガーマネジメントの大家でいらっしゃって、著作も他にたくさんあるようですので、別のモノも読んで勉強しようと思います。
まとめ
人間は、やはり機械とは違いますので、人の気性や考え方は、年齢を経ることによって変わってもきますし、その日の体調や出来事によっても人当たりが変わってきます。
そして、当然ですが、人の考え方は、人それぞれでありますから、意見は違って当然なわけです。文字で書くと、腑に落ちることですが、いざ、実践となると、意見は対立しがちです。もしくは、長いものに巻かれろ的に、自分の意見を出さないことで波風を立てないのを良しとしたりもします。
どちらにしても、もやもやした気分が残るのは、自分の精神上も、突き詰めていくと周りの人間にとってもよくないことですので、どこかで健全に発散するか、もやもやを残さない作戦をはじめに習得しておくことが大事になってきます。
近年、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が成立しました。 改正法は、大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。 パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が、企業にはじめて義務付けられました。
コロナの影響で、一部では働き方も変わってきています。
冒頭のいじめ・嫌がらせの相談件数が、少しでも下がってきて、良い労働環境が日本にできれば、働き方改革は成功する方向に向かうのではないかなと思います。