社労士試験ではたくさんの法律を勉強して記憶していくわけですがその中で、異彩を放っている職業が2つあります。
日雇いさんと船員さんです。
試験勉強の中でちょくちょく出てきますよね。
今日は、そのうちの船員さんの健康保険たる「船員保険法」についての話になります。
一般労働者と違って特別な扱いの船員さん|社労士試験対策
社労士試験で、ちょくちょく番外編として出てくる船員さん。
勉強していてまず出てくるのは、船員は労働基準法は一部を適用するだけで、メインは船員法で規定されているなどでしたね。
社労士試験の社一で出てくる船員保険法は、歴史も長く、特殊な環境で働く船員向けの社会保険の法律になります。
以前にも書いた語呂あわせ
ちなみに海事代理士の試験範囲には、この船員保険法は入っていません。
あくまで船員保険法は、社労士のやる仕事の法律ということですね。
(船舶の就業規則は、海事代理士のお仕事になるそうですけど)
船員保険法には船員の健康保険として&上乗せ付きの労災保険としての機能|社労士試験対策
↑沈没するぞ~
船員さんは、雇用保険と厚生年金は、一般労働者と同じ扱いになります。
ただ、一攫千金系の漁業をする者には、雇用の概念があわないのか、雇用保険から外されていることには注意が必要ですね。
その他、普通の労働者と違ってくるのは、上で書きました、
労働基準法は一部が適用されて、他は船員法になること
これ以外にも、
- 労災保険法では、船員さん向けの上乗せ的に休業手当金があること
- 健康保険法は、船員保険法に置き換わって、支給期間が長くなって手厚くなる傷病手当金、出産手当金があること
- 健康保険の任意継続被保険者に相当するものとして、疾病任意継続被保険者がありますが、これは船員保険法から外れて健康保険法が適用されて全国健康保険協会の範囲になる
などがあります。
休業手当金は、待期期間3日なくても支給してくれますし、かつ、4か月間は船員保険標準報酬月額の4割も上乗せしてくれますので、労災給付基礎日額の6割のやつと合わせたら、10割も、もらえるものです。
傷病手当金は、これまた待期の3日要らずで、健保が一年半のところをなんと3年も支給期間があります。
出産手当金では、健保では、出産日42日以前からもらえることになりますが、船員保険法では、日数に制限なく、妊娠したときから手当金のカウントをしてくれるようです。
陸上勤務とは違って、海上における船内での仕事と休日ですから、このあたりは手厚くしておくことで、バランスをとっているのでしょうね。
とはいえ、
現代の新しい船舶は、法が想定していた時代の船舶より、ずいぶん快適になっているようです(もちろん、古いのはあるでしょうけど)。
船員保険法では葬祭料という言い方|社労士試験対策
法律によって、埋葬なのか葬祭なのか、言葉のチョイスの些細なことですけど、試験対策的には覚えておきましょう。
で、マイちゃんという女の子が、偉くなったと想像しまして、
国民の総裁 (葬祭費、葬祭の給付)(高齢者医療確保法も葬祭費、葬祭の給付)
船でも総裁 (葬祭料、家族葬祭料)
ご満悦 (5万円)
健康保険法は「埋葬」、そのほかは「葬祭」ですね。
あと、健康保険法では、
一般保険料率は、基本保険料率+特定保険料率 という覚えやすい語感ものでした。
船員保険法では、
一般保険料率は、疾病保険料率+災害保健福祉保険料率 と覚えにくいです。
保健に保険を重ねるという語感のネーミングセンスですw
この災害保健福祉保険料のことは、大原の社労士24のテキストには書いていませんでしたが、TACのまとめなどにはこの疾病保険料率と災害保健福祉保険料率のことが書かれています。大原は「捨て」たのかもしれませんね。
試験に出るのか出ないのかは、わかりませんが、まあ、今のうちに知っておくのもいいかもです。
ちなみに、
「疾病」の料率は、40/1000~130/1000
「災害保健」の料率は、10/1000~35/1000 とのこと。
私オリジナルの語呂合わせ
船上でトムとジェリーのジェリーが、財布とサンゴを盗んで穴に逃げ込んだイメージです。
(船ネズミ)しっぽ 出しいさ~ 財布 と サンゴ
船保 しっぺい 40 130 災保 10 35
です。
無理やりですね。
船員に関する業務の、社労士と海事代理士の境目|社労士試験対策
社労士試験には直接的には、関係のない話になります。
いわゆる「業際」の話になります。
まだ、実務のなんたるかを知らないので、はっきりしたことはわからないのですけども、ネットで調べてみますと、
海事代理士法1条に、
別表第⼆に定める法令の規定に基づく申請、届出、登記その他の手続をし、及びこれらの手続に関し書類の作成をすることを業とする。
とありまして、
別表二には、海事代理士が扱える法律が列挙されています。この中には、船員保険法はありません。
かたや、社会保険労務士法2条に、
別表第⼀に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等を作成すること
その別表第一には、社労士が扱える法律がズラ~と書かれています。その中には、船員法はないのです。
ややこしいのですが、
とのことです。
それぞれの「士法」に違反することは避けたいので、この業際問題は気になるところでありますね。
まあ、受験生の方はこのことよりも、
いつもテキストのスミッコで後回しにされやすい社一の中の一つ、船員保険法を一回くらいは「軸」にして、労災保険法、健康保険法などへの横断学習に使うのも、良い手だと思います。
がんばってください!